透析コラム
Column
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「透析が必要になった場合に寿命はどのくらいになる?」
「長生きするためにはどうしたらいい?」
このように、透析患者さんから、寿命に関するお悩みを打ち明けられることが多いです。
腎不全や腎結石、多発性嚢胞腎などを患った方には、定期的な透析治療が施されます。
透析治療を行わない場合の余命は、透析治療を行う場合よりも少なくなるため、できるだけ早く通院を行うことが大切です。
透析治療が必要な患者さんの平均寿命や透析を受けない場合のリスク、長生きするためのポイントについて詳しく解説します。透析治療を控えている患者さんやご家族の方は、ぜひ参考にしてください。
厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命は、2019年時点で女性が87.45歳、男性が81.41歳です。2040年には男女共に年数が増えると予想されています。
平均寿命とは、0歳における平均余命のことを指します。透析導入になるのは、成人になってからの方が多く、透析導入になる平均年齢は現在、71歳です。したがって、患者さんが透析が必要になった場合の寿命を知りたい場合は、平均寿命よりも平均余命の方が実態をよく表します。
日本透析医学会は定期的に透析患者さんの平均余命のデータを報告しています。平均余命はその人の年齢によってかなり異なります。例えば、透析導入が50歳の場合は平均余命が17~20年、60歳の場合は平均余命12~14年、70歳の場合は平均余命8~9年などとなっています。この平均余命のデータは毎年少しずつ長くなっています。
また、日本における透析患者の総数34万人のところ、透析患者の5年生存率は一般人の60%程度とも言われています。ただし、個々の健康状態や治療の質によって大きく異なる可能性があるため、その場合はこの結果の限りではありません。
参照元:2022 年日本透析医学会統計調査報告書 調査結果と考察|厚生労働省
アメリカ腎臓財団(NKF)のガイドラインによると、透析治療を受けなければ、腎不全患者の余命は非常に限られたものとなると報告されています。
腎機能が低下したままでは、体内の老廃物や余分な水分が排出されず、全身の機能が急速に悪化します。
腎不全が進行すると、数週間から数ヶ月のうちに全身の臓器が深刻なダメージを受け、死亡するリスクが高まります。特に、心不全や高カリウム血症、アシドーシスなどが致命的な合併症として発症することが多いです。
透析治療を受けない場合、余命は数週間から数ヶ月と、非常に短くなります。しかし、透析治療を受けることで、これらのリスクを回避し、寿命が10~20年程度延びることが確認されています。早期に適切な治療を受けることが重要です。
透析患者さんが長生きするためには、いくつかの重要なポイントがあります。定期的な透析治療はもちろん、感染症の予防や心臓ケアを怠らないようにしてください。以下で詳しく解説します。
透析患者さんの死亡原因の第1位が感染症です。透析患者は、腎機能の低下や精神的なストレスにより、免疫が低下しているケースが多いです。そのため、感染症の予防が大切です。
透析治療では、血液が体外に取り出されて装置を通して浄化されます。この過程で、細菌やウイルスが体内に侵入するリスクがあります。特に、シャントやカテーテルなどの医療機器からの感染が懸念されます。
感染症を予防するためには、患者さん自身だけでなく、ご家族の協力も大切です。手洗いや消毒を頻繁に行い、アルコール消毒液で清潔を保ちましょう。透析に使用する医療機器からの感染症だけでなく、インフルエンザやその他流行している感染症の予防にも効果的です。
手洗いや消毒だけでなく、予防接種の実施も行い、感染症のリスクを減らしていきましょう。
透析患者さんは、感染症にかかると重症化しやすくなり、治療が難航する恐れも。透析治療における衛生管理を確認し、通院するクリニックを選ぶことも大切です。
透析患者さんの死亡原因の第2位が心不全です。感染症とは違い、心臓は狭心症など以外は症状が表に出にくいということがあります。
心臓は毎日多くのエネルギーを消費しながら、全身に血液を送っており、心臓が止まれば死にますから、間違いなく心臓は最も重要な臓器です。
透析患者は、高血圧や糖尿病、電解質異常などの影響で、心血管疾患のリスクが高い傾向にあります。まずは、ご自身の心臓に関心を持ってもらうことが大切です。
心臓をケアするためには、血圧や体液バランスの管理を行います。透析患者さんは尿がほとんど出ないので、自分で体液バランスを整えるのは困難です。医療スタッフとよく相談しながら、透析の際に過剰な体液を除く量を決めることが大切です。体液バランスが適正に保たれているにも関わらず、血圧が高い方は降圧剤が必要になります。
食事管理においては、塩分の摂取を控え、バランスの取れた食事を取るよう心がけましょう。さらに、ウォーキングやストレッチなどの運動を取り入れ、心臓に負担をかけすぎずに体を動かしてください。
日常的な心臓ケアを行いつつも、定期的に心エコー検査や心電図検査を行い、機能や構造に問題がないかを検査することが大切です。
医師が処方された薬は正確に服用し、定期的に効果や副作用のすり合わせを行いましょう。クリニックと患者が連携をとり、継続的に心臓ケアを行うことが重要です。
ここからは、透析患者の心臓機能が低下しやすい理由について解説します。
透析患者は、高血圧を患うケースが多く、心筋肥大を引き起こし、心臓が血液を送り出す能力が低下します。
また、腎臓が正常に機能しないことによる体液バランスの変動も原因になりえます。体内の余分な水分や塩分が適切に排出できる透析治療ですが、治療と治療の間に体液が過剰に蓄積すると、心臓に過負荷がかかりやすくなり、心不全のリスクが増えてしまいます。
そのほか、電解質異常や動脈硬化、貧血、感染症が、心臓に悪影響を与えます。これらの要因が複合的に合わさり、心臓に負担がかかることで、心機能が低下します。
透析患者がご自身の心臓に関心を持ち、ご自身で心臓をケアすることは、生活の質(QOL)を上げて寿命を伸ばすために非常に重要です。透析治療の他にも、食事管理や軽い運動、定期的な心臓の検査などを怠らないようにしましょう。
透析治療が必要になった患者には、寿命を伸ばしてQOLを上げるために、家族の協力を受けることも大切です。具体的に家族がサポートできる内容は、以下にまとめました。
透析患者本人だけではなく、家族や周りの人の協力も大切です。特に、食事や運動、ストレスの緩和は、患者さん1人では難しいことも多いです。
透析治療を行い寿命を確保するために、医療機関との連携も忘れずケアしていきましょう。
東京ネフロクリニックでは、透析患者にとってリスクの高い感染症や心疾患を減らすために、常に最善の透析治療法を追求しています。
東京ネフロクリニックでは、2023年4月に最先端技術の「電解水透析システム」を導入しました。従来の透析治療では難しいと考えられていた、自覚症状と合併症を改善できる注目の透析治療です。
専門医による腎移植や再移植の相談や、移植後に再び人工透析が必要となった患者さんのサポートも行います。
公式サイト | https://tokyo-nephro-clinic.com/index.php |
透析可能時間 | 8:30~23:30 |
休診日 | 日曜日 |
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JR山手線と東京メトロ南北線の「駒込駅」から徒歩わずかと、高い利便性も特徴です。透析治療や腎移植でお悩みの方は東京ネフロクリニックへご連絡ください。