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都内クリニックで初導入:電解水透析システム

4月から「電解水透析システム」を導入しました。国内では33施設目の導入になりますが、東京では聖路加国際病院についで2番目となります。関東でも本格的に稼働している施設はまだ5施設しかありません。

当院が導入した理由は、透析患者さんの透析後の疲労感を何とかしたかったからです。個人差はありますが、透析後に疲労感を訴える患者さんは多いです。透析が終わって帰宅すると、その日は1日何もできない、運動する気力もわかないと仰る患者も結構います。翌日には回復することが多いのですが、それでも翌々日にはまた透析があるので透析後の疲労を考えると憂鬱になってくる。医師はデータや体調を見て健康状態を把握し、透析条件を変更したり、いろいろとアドバイスします。もちろんこれは大切なことですが、患者側からすればデータよりも今の自覚症状の方が切実なわけです。透析中は循環動態がダイナミックに変化しますから、急変もしやすく、医療者は透析中の変化には特に注意します。ところが、透析中よりも自宅に帰ってからの方が辛いという患者さんも多いのです。医師には透析時間以外の患者さんの生活は見えにくいものです。また、医師は実際に見ているものを重視し、見えていないものは軽視しがちです。このあたりが、医師と患者との問題意識のギャップが生まれる原因の一つです。

現在オンラインHDFという透析法が主流になりつつあり、当院も2年前に導入しました。従来のHDという透析方法よりも原理的には生体の腎臓の働きに近く、毒素を効率良く除去できます。一方で体にとって必要な物質、例えばアルブミンなども除去してしまうため、栄養状態の悪い患者などにはデメリットもあります。ですから、アルブミンなどが過剰に抜けない程度に透析条件を調整する必要があります。オンラインHDFは従来のHDよりも毒素が抜けて倦怠感も減ると言われていました。ただし、倦怠感に関しては目に見えるような効果は乏しいというのが私の個人的見解です。

透析では除水も同時に行うので、透析後は急性脱水の状態になりますから、血圧は下がりやすいです。さらに、透析の度にスーパーオキシドなどの活性酸素種が血中に増え、血管内皮が傷害され、動脈硬化が促進されます。動脈のしなやかさが失われ、高血圧にも低血圧にもなりやすくなります。透析後の倦怠感の原因の一つがこの低血圧です。除水しても血圧をなるべく保てるようにするには、スーパーオキシドなどの活性酸素種をなるべく抑えることが大切です。電解水素水に含まれる豊富な水素がこれらを無害化してくれますので、電解水素水は透析には理想的な水なのです。電解水透析により、普段の高血圧が改善されたという結果があります。さらに、電解水透析と通常の透析を比較した時に、透析後の倦怠感が有意に改善されたという報告もあります。電解水透析では今までの透析法では得られなかった効果が期待できます。

院長

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