院長ブログ
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血液透析は腎臓が病気で働かなくなった場合の、腎代替療法の一つです。他にも腹膜透析と腎移植があり、すべての治療法には一長一短があります。今回は血液透析のメリットとデメリットについて書きます。そんな事はネットや本に書いてあるのに、何を今更と思われる方も多いでしょう。しかし、私が個人的に注目していることで、ここに書いてみたいことがあります。専門的な話は難しくなるので、細かいことは大胆にカットして書いてみます。
まず血液透析のデメリットですが、ずばり免疫が下がることです。免疫が下がると感染症にかかりやすくなります。なぜ免疫が下がるかというと、血液を一旦体の外に出す際に、血液が人工物に接触するからです。この接触により免疫の細胞が物理的に壊れたり、逆に活性化して有害な物質を出します。透析する度に軽い風邪にかかったような状態になるのです。透析患者さんの免疫細胞は健常者よりも老化していて、バイ菌が体内に入ってきても、殺菌する能力が弱いことが知られています。それなのに、針を刺す時などに皮膚からバイ菌が体内に入るチャンスがあるのです。日本の透析患者の調査によると、透析患者さんの死亡原因は2022年から感染症が第一位です。腎移植でも、免疫抑制剤を使用することで免疫力が低下するため、透析患者さんとは異なるタイプの感染症にかかりやすくなります。ざっくり言うと、腎移植患者はウイルスに弱く、透析患者は細菌に弱いと言ってもいいでしょう。血液透析によって免疫が下がらないようにするには、なるべく生体に近い人工材料を使うなどの技術的な工夫が必要です。
次に、血液透析のメリットですが、血液から有害なものを効率的に除去できることです。当たり前と思うかもしれませんが、実はすごいことなのです。なぜかと言うと、体の中の有害なものを物理的に消去するのは透析以外には外科手術や放射線ぐらいしかないからです。物理的に消去する方法は、化学的な消去よりも効果が高いことがあります。がんに対する外科手術は今でも最も効果の高い治療法です。また、体に溜まった膿を出すためのドレナージ術は抗生物質よりも劇的に病状を改善することがあります。腎不全以外の病気で血液透析が有効な例として、バイ菌が全身に回る重症の「敗血症」や遺伝的にコレステロールが高い「家族性高コレステロール血症」などがあります。体に有害なバイ菌や炎症物質やコレステロールを一気に除くことができます。
血液透析は世間的にはデメリットが強調されやすいのですが、メリットもあります。私は透析のこれらのメリットを利用して、他の病気への応用研究を続けています。